減損会計しない方向の経理規定

企業内税理士の税金
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私が在籍していた上場子会社経理では、固定資産がほぼない状況でも、固定資産の減損を検討しなければなりませんでした。
固定資産は、デスク、パーティション、パソコンなどの必要最低限ものが多く、投資的な設備はほぼなかったです。
それでも、減損の検討をするのは、監査法人の期末監査で、検討しているのかを確認されるからです。

減損してその部門を閉鎖しても、上場子会社では解雇することはでいないですし、他の部門に人員が回ったりするだけです。
そのためといったら会計基準的にはおかしなことですが、減損にならないような検討方法をしていました。

他の会社で応用は効かないというか、固定資産がなく解雇もないような割と緩い会社だったからできたことだと考えています。
初めて減損の兆候を担当したときには、減損にならないようなやり方に驚きました。

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減損会計の流れ

減損会計は、対象となる全ての固定資産について回収可能性を検討するわけではありません。減損の兆候が生じている資産または資産グループについて、回収可能性を検討し、減損を認識し、測定します。これは、対象となる全ての固定資産について回収可能性を検討することとすると、実務上、過大な負担となるおそれがあることを考慮したためとされています。(EY新日本監査法人)

「資産のグルーピング➡兆候➡認識➡測定➡減損処理」
となります。

資産のグルーピング

資産のグルーピングは、営業の部門ごとにグルーピングしていました。
これは特殊な考えではないと思います。

減損の兆候の認識【営業活動から生ずる損益 】

兆候の把握の段階で、減損しない方向になるような方法を採用していました。

⑴資産または資産グループが使用されている営業活動から生ずる損益またはキャッシュ・フローが継続してマイナスとなっているか、あるいは、継続してマイナスとなる見込みであること
⑵資産または資産グループの使用されている範囲または方法について、当該資産または資産グループの回収可能価額を著しく低下させるような変化が生じたか、あるいは生ずる見込みであること
⑶資産または資産グループが使用されている事業に関連して、経営環境が著しく悪化したかまたは悪化する見込みであること
⑷資産または資産グループの市場価格の下落

⑴~⑷は減損の会計基準に書いてあることです。
⑴の営業活動から生ずる損益に関して、減損しないような方法を採用していました。
会社が行っている管理会計の損益に基づいて兆候を検討しています。

営業活動から生ずる損益について、部門の損益で判断していましたが、減価償却費は考慮せず検討していました。
また、人事、総務、経理などのバックオフィスの人件費も考慮していなかったと記憶しています。

単年で赤字になってしまったとしても、翌年の経営計画で黒字になっていれば、その年度については、減損の兆候なしになります。
該当部門が2年連続赤字はまずいと思いますが、私は経験したことがありません。

減損会計は慎重に

私が在籍していた上場子会社では、部門が閉鎖され従業員を解雇するようなことはなかったです。将来的にはあり得る話ですが。

社会的には解雇というカードがあると、人材の流動性が高まったり、良い意味での緊張感はあるのかもしれませんが、路頭に迷う人もいるわけです。

今後、日本の企業がどうなっていくのか分からないことですが、減損会計を適用するとそこで働く人たちの生活にも少なからず影響があることを知っておきたいなと感じていました。

アイキャッチ画像の書籍は、上場子会社経理時代に調べもので使っていました。

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